長谷敏司 / 角川書店

〈円環大系〉と呼ばれる魔法を使い、100人の魔導師を倒す運命を負った少女メイゼルの前に現れた、音を操る〈神音大系〉の騎士。メイゼルを排除しようとする彼らの狙いとは!? 魔導師たちの過酷な戦いが始まる!(1巻『バベル再臨』)
魔法使いが公然となった日常、世界の混乱は収まらず、寒川紀子が魔法使い集団に誘拐された。奪還のために仁とメイゼルは集団を追う。そして聖騎士たちが、再演魔道師たちが、最終決戦のために動き出す――!!(13巻『荒れ野の楽園』)
koboでラノベフェアをやってたときに1巻を買ってみたところ、この物語は一体どこに着地したいんだろうというのが気になって、ついつい全巻そろえてしまいました。
設定の緻密さと完成度がものすごく高くて、ほれぼれとしてしまう出来栄えです。
しかし、文章表現がなぁ……。
特に初期の頃は読みにくく、日本語としてどうよ?と思う部分もあるくらいでした。あと気になったのは、作者の思うようにキャラクタが動かされているというか、感情や行動の動機が先にあって、それに合わせるためにキャラクタが無理矢理操られているというか。
読んでいて腑に落ちない部分がいろいろいろいろあって、うーん?と首をひねりながら読んでいました。
しかし、まぁ、こうした日本語としての出来栄えと小説としての出来栄えに目をつむってしまえる程度には、前述の設定の完成度と物語の方向性は魅力的でありました。
結局この物語の終着点はハッピーエンドなんでしょうが、そこに至るまでのえげつなさに舌を巻きます。
このえげつなさはラノベではなかなか見ないレベルで、「され竜」を思い出します。出版時期的にどちらが先なのかはよくわかりませんが。
おもしろそうだと思って積んである本の中に、意図せずしてこの作者の本がいくつもあるので、すごく好きなタイプなんですよね。
あとは日本語と小説的に読みやすければ言うことなしなんだがなぁ。