監督:アレクサンドル・ソクーロフ
2005年/ロシア・イタリア・フランス・スイス

闇は、まだ明けなかった。
1945年8月。その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。その人の名前は、昭和天皇ヒロヒト。彼を神の子孫だと言う侍従たちに、天皇は、「私の体は君たちと変わらない」と笑った。戦況は逼迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。その苦悩は、悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲いかかる。うなされるように目を覚ます天皇の孤独。彼は、「私は誰からも愛されない」と呟き、遠く離れて暮らす皇后と皇太子たちのアルバムに唇を寄せた。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。彼は、ひとつの決意を胸に秘めていた…。