養老孟司 / 新潮社

イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人は、なぜ互いに話が通じないのか。そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。
借りてみた。
ひとつ、「あ、なるほど」と思ったことが。
それは、「養老さん、日本人は“常識”を“雑学”のことだと思っているんじゃないですかね」という、ピーター・バラカン氏の言葉。
とても納得できる一言で、いまの日本における問題点を的確に突いている、と思いました。
常識というのは共通了解のことのはずで、それは知識とはまったくの別物であるはずなのですが、共通了解ということは、誰もが知っているということで、知っていて当然という同じ属性を持っている雑学的知識が常識と混同されることになる。
表面をさらって、曖昧な認識のまま、本質を見失って混同する。
まぁ、それなり。とくにおもしろいわけでも、目から鱗なわけでもないし。養老氏の口調(口述を編集者が筆記したというから、文体ではないでしょう)だから、ぽんぽん読み進められる、といった感じ。