青桐ナツ / マッグガーデン

両親を亡くし、身寄りは他にないと思っていた青司にもたらされた祖父の遺産相続話。
よくわからないうちに相続したのは、平屋の古民家、
しかも住んでみると自分以外の住人が…!?
ヒゲとこどもと高校生が。
表紙を見たときは、「flat」のような異世代交流ものだと思ったのに。
帯にある「ヒゲとこどもと高校生」は、表紙に描かれている三人のことなのですが、真ん中の高校生が主人公の青司。
で、左端のヒゲが年神の年男。
で、右端のこどもが納戸神の納戸。
つまり、人とその家に住まう神さまのお話。
まさか異種族(?)交流だったとは。
なるほどしてやられた。
これなら単なる焼き直しではないものなぁ。
青桐さんらしい、非常にシンプルな絵と、素っ気ないようでいて丁寧な心理描写。
明るさや愉快さの中に、どこかさみしさがにじむ感じ。もちろん登場人物が天涯孤独(だと思って生きてきた)少年だということもあるのでしょうが、なんだかこれはこの人特有の持ち味なんだと思います。
「私は悲しい
あの子のいうことはいつもどこか悲しいのだ
どうしようもない寂しさが滲む」
「……まあ 親のない子じゃからのう」
「私は嫌だな」
「嫌だ」
「滲む寂しさを 減らしてやれたら」
1巻のラスト、年男と納戸が交わす会話ですが、つまりはそういうことなんだと思います。
本当にやさしいマンガを描くなぁ。