山下和美 / 講談社

歴史を繙き、不思議な少年のモチーフを研究する老いた民俗学者。
40歳OLの再就職。日常が憂鬱に埋もれていく中、車窓からふと見えた奇妙な光景。
独裁者によって支配された未来に、タイムスリップしてしまった力なき少年・ルキ。
幸せな人生とは何か? 少年と再会した老夫婦は、ある重大な選択をする。
記憶の中で大きく輝く彗星。その再来によって蘇るのは、あの懐かしく大切な日々。
あらゆる時代において、人間が宿す思いが、いつも少年を揺さぶり続ける。それは、人間が限りある命を生きる者だからか?
永遠の時を旅する少年には、いまだその答は見えない。