芳崎せいむ / 小学館

「思い出の漫画」を持つ全ての人、そして… まんがばかのための漫画
実在の漫画を素材にした古書店物語。
第一話「思い出の成分」の冒頭で、「もう大人なんだから漫画からは卒業」というセリフを吐くキャラクターがいます。
これは特別なセリフじゃなくて、こういう風に考える人が実際にたくさんいるんですよね。実際、これと似たようなことを言う人を知ってますし、言われたこともあります。
でも、そういう人って漫画にはケチをつけるくせに小説だとケチをつけない場合が多いんです。(いや、もちろん両方全否定な人もいますよ。以下は、絵空事自体を不要だと考えるそういう一部の人は除外して、のお話です)
表現方法が絵か文章か、というだけで区別するんですから。結局、漫画を馬鹿にする人は表現の表面は見ても、作者がなにを表現したいのか、というところは見てないんですよね。
もったいない。
この作品では、登場人物の思い出や感情を、実に巧みに実在の漫画に託しています。読み終わった後、あれも読みたいこれも読みたい、とうずうずしてしまいます。