E.L.カニズバーグ / 岩波書店

ニューヨーク郊外の小学校に転校してきたばかりのエリザベスは、ハロウィーンのおまつりの日に、黒人の少女ジェニファと出会いました。自分は魔女だという風変わりなジェニファとエリザベスは、秘密の約束をかわします……。
エリザベスの一人称形式で書かれているのですが、なんだか言葉が丁寧すぎてなんとなく据わりが悪い。しばらく読んでいくうちに慣れましたが、なんとなくふしぎな感じが漂います。
物語は、自称魔女のジェニファと、引っ越してきたばかりで友達のいないエリザベスが出会うことから始まります。
ジェニファはとても頭の良い少女で、冴えたやり方を熟知しています。
こうして外から、しかもこの年になってから読んでいるのでそう分かりますが、実際に目の前にしたエリザベスには、本当に魔女に見えたことでしょう。
実はジェニファの“魔女”というのもひとつの虚飾に過ぎないのですが、そこを薄っぺらにするでなく、繊細で多感な少女たちのお話として処理する作者の手腕に舌を巻きます。
作中、魔女の修行についてジェニファが言います。
「ほんきで魔女になりたけりゃ、なにをしたってつらいなんて思うはずないのよ。ほんきじゃないと、なにをしてもつらく感じるの。(後略)」
ああ、なんてこと。真理ですよ真理。
こうしたものがぽんと何気なく放置されているから、児童文学はたまらない。