村山由佳 / 集英社

20歳も年上のカメラマンとの関係に苦悩する都。
ラグビー部の同姓のチームメイトに密かな思いを抱く隆之。
傷つき悩みながら、互いにいたわりあう二人。そして、決断のとき──。
なんとなく目についたので、本棚から引っ張り出してみました。
読みました。
泣いていいですか。叫んでいいですか。走り回っていいですか。
感情が溢れて溢れてもうどうしようもないくらいに溢れて。
理由の分からないなにかに突き動かされて、なんだかいますぐどうにかなってしまいそうです。
同性を好きになる、いわゆるホモセクシュアルというのは、いつか書こうと思って温めていたテーマなんですが、っていうか、もう設定も話の流れもできあがったものがあるのですが、この作品を読み返してみて、なんて類似点が多いのだろうと思いました。
この作品、なんとなく「こんな感じ?」という風な記憶はあったのですが、細部なんかはすっぱりと忘れていました。
でも、読んでいる内に、「このシーンは知っている」「この台詞は知っている」だって、頭の中で考えていたあの話に出てくるのとほとんど一緒じゃないか!って。
この作品がどれだけ鮮烈に僕の中に印象を焼き付けていたのか。改めて認識しました。
この作品で描かれたものが、僕の中の「なにか」にひどく強く引っかかるものだから。
僕は村山由佳という作家を好きになったのでした。
すっかり忘れていました。
思い出しました。
この鮮烈な感性に出会わなければ、いまの僕はないのでした。
高校生だったあのとき。
ひどく遠く、恐ろしいほど近しいあの頃。
江國香織と村山由佳。
あの頃の僕の根元にいたのはこの二人だったのでした。
明日は「海を抱く BAD KIDS」を読もうと思います。
手持ちの村山由佳を読み尽くしてもいいのですが、その前に、「きらきらひかる」を読もうと思います。
きっと、またずいぶんと興奮してしまうのでしょう。
あの頃の僕に出会うのは、とても気恥ずかしいけれど、ある種とても清々しいともいえるのです。いまの僕、そのベクトルを決定づけたあの頃。それは、原点といっても差し支えないのですから。