監督:フランソワ・オゾン
2004年/フランス

ある一組のカップルを、別れから出会いへと5つの季節を遡る──
2人のことなど何も知らない男が言った「離婚が成立しました」
夫があるディナーの席で語る「僕は一度だけ裏切った」
妻の出産に戸惑う夫「予定していなかったので……」
結婚式の日、「幸せ」と言いすぎたのかもしれない
出会いは、カリプソの海。太陽は希望に輝いていた
物語を逆から語る、という作りに興味を惹かれました。
フランソワ・オゾンの作品だから、どこかに仕掛けがあるのではないかと思って見ていましたが、そんなものはどこにもなく、ただ、二人の別れから出会いまでを遡っていっただけでした。
もし普通に出会いから別れまでを取り上げるなら、おもしろくもなんともないラブストーリーです。それが、逆に語られるだけ。
しかし、だからこそ、この作品はおもしろい。
突然突きつけられる愛の終焉。
そこから少しずつ時を遡っていくことで、なぜ離婚へと至ったのか、というそのすべてが伏線として機能し始める。ふたりの愛のかたち、それを追うこと自体が最初に示される「離婚」という結末を浮き彫りにし続けるのです。
そして、最後の最後、映画のラストシーンは、夕日の沈みゆく美しい海に入っていく二人──で終わります。
「こうして愛は終わりました」から始まり、「こうして二人は恋に落ちました」で終わる物語。
輝かしいハッピーエンドでありながら、その終焉を、もう僕たちは知っているのです。
見事でした。
ふたりの5つの分かれ路
http://www.gaga.ne.jp/futarino/