養老院で育ち、9才になるとともに救貧院に戻された孤児オリバー。あまりにも少ない食事におかわりを求めたことから追い出され、奉公先ではひどいいじめにあい脱走。七日間歩き続け、大都会ロンドンにやってきたが、行き倒れ寸前。そんな彼に救いの手をさしのべたのは、少年スリ団のリーダー、ドジャーだった。
理不尽な社会、大人達、超えられない階級や貧富の壁。
そんな絶望の中で孤独な少年オリバーを救ったのは、他の誰でもない悪党でした。
少年スリ団と、そのリーダー・フェイギン。
いわゆる“善人”ではなく、悪党だけが他人との手のつなぎ方を知っている。それはつまり、手をつながなければ生きていけないような人々だからこそ、悪事に手を染めることでしか生きていけなかったということでもあります。
そうした背景が強く主張するでもなく、透けて見えるというところがいいですね。
ラストは慟哭ものでした。
どういうシーンで締めるのかと思ったら。あれを映さず、「オリバーは幸せになりました。めでたしめでたし」で終わっても良かったのに。
あくまで絞首台で締めようとする姿勢に、潔さと好感を覚えます。
オリバー・ツイスト
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