監督:宮本理江子
2006年/日本

平凡な高校生、透、暁、哲雄の3人。透に淡い想いを寄せる唯。彼らにとっては青い空も輝く海も日常の風景だ。この4人が沖縄のインディーズで超人気の「ワーカホリック」のライヴを目にしたことで、突如音楽に目覚めラップバンドを組んでしまった。ひょんなことからワーホリの前座としてステージに立つことになった透たち。ラップは簡単じゃない。楽器の練習、ライムの作成、そして切なくもどかしい恋ごころ…。ずっと中途半端だった生活が音楽をきっかけに少しずつ変わっていく。
ごくフツーの高校生がなにかに挑戦し、一度は敗れて、でも再起にかけて大成功!
展開はいかにも王道的な青春映画なんですけど、この作品は致命的にズレている。なので、ノリはいいんだけど、出来はいまいち。中途半端な青春映画崩れって感じです。
で、なにがズレているのかというと、ラップ(音楽)の使い方なんですよ。
たとえば、近年では、この手の作品の金字塔と言っても過言ではない『ウォーター・ボーイズ』。
男子高校生がシンクロにハマり、シンクロがやりたくてがんばるんです。シンクロが目的で、そのための手段が学園祭公演。学園祭公演をするためにシンクロをするんじゃなくて、シンクロをするために学園祭公演をするのです。
たとえば『スイング・ガールズ』。
彼女達も嫌々始めたビッグバンド・ジャズが、いつのまにか大好きになって楽しくて仕方がない。ジャズが目的で、コンクール出場が手段。ジャズを演奏するためにコンクールに出場するのです。
しかし、今回の作品はそこが違う。
女の子にモテたい、なにかを仲間とやり遂げたい、いま一番大事なものはなんなのか確かめたい、見せたい、表現したい、そういう思いはいいんですよ。
でも、それだけなんですね。そこから発展していきやしない。
恋愛が目的で、ラップが手段。
ラップは手段でしかないのです。
なので、彼らが苦心しながら最終的にステージで大成功を収めたところで、はぁ、で? みたいなシラけた感想しか出てこなかったです。
チェケラッチョ!!
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