作中で“吉野ガリ”と呼ばれる髪型は、まるでマッシュルーム。町中の少年が、みんなこの髪型ですよ。
始めはなんだかとても異様でした。
でも、なんだかどんどん見慣れていって、最終的には“吉野ガリ”じゃない髪型が変に見えてくるから不思議なものです。
主人公の五人組の中で、唯一“格好いい髪型”をした転校生の坂上くんも結局は吉野ガリにされてしまうのですが、彼、上川隆也に似てるんです。っていうか、僕には上川隆也に見えたんです。
ええ。
上川隆也(偽)が、マッシュルーム……!!
あまりにも面白くて、笑いをこらえるのに必死でした。
いかにもな田舎、いかにもな閉鎖社会、いかにもな子供達。
ああ、そうそう、田舎ってこんなんや、小学生の男の子ってこんなんやなぁ……と懐かしく思いながら見ることができました。
舞台の演出、小学生の描き方は絶妙だと思いました。
で。
後半、ストーリーは“吉野ガリ”を通じて「無意味な因習への反抗」がメインになります。“吉野ガリ”からの脱却=少年達の自立の芽生え、みたいな。
別にそれが悪いとは思わないんです。
ただ、できすぎじゃないかな、と、ちょっと思いました。
前半で確立された閉鎖的な田舎社会、それが、五人の少年のちょっとした抵抗であっという間にほどかれてしまった。
どうせなら少年達の試みは失敗し、依然変わらぬ環境の中、その挫折を糧に自らの内面が変わっていく、という展開の方がしっくり来るんじゃないかな、と思いました。
いや、別に文句つけてるんじゃないんですけど。
なんて言うか、ちょろっとしっくりこなかったというか。
おもしろかったんですよ。ええ。それはとても。
なんだか奇妙で、どこかほっとする映画でした。
バーバー吉野
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