監督:ヴィム・ヴェンダース
2004年/アメリカ、ドイツ

アフリカ、イスラエルで育った少女ラナ。
亡き母の手紙を伯父に渡すため、10年ぶりに故郷アメリカに帰ってきた。
誇り高き自由の地、アメリカを一人で守ろうとしている伯父ポール。
アラブ系のホームレスが殺される現場に居合わせ、二人は再会する。
ラナはその遺体を、残された兄ジョーに届けるため、ポールは事件の真相を突き止めるため、二人はアメリカを横断する旅に出る。
ロサンジェルスから最果ての地トロナを経て、夢と悲しみの町ニューヨークまで。
『男たちの大和』が、戦争を通して生きることを描いた作品ならば、描き方は全然違うけれど、こちらも正にそういう作品でした。
ベトナム戦争と9・11。
実はこの二つはとても似ている事象なのではないのか、ということに気づかせてくれる作品でした。
実に印象的だったのは、伯父ポールが
「ベトナム戦争の話を聞きたいか?」
と話し始め、
「俺たちは勝ったんだ」
と前を向きながら呟き続ける場面。
冷徹な刃物のような、触れれば皮膚が裂けてしまうような痛々しさでした。そしてそれを見つめるラナの視線! あたたかいとか包み込むような寛容さとか、そんなんじゃ到底語れない、語り尽くせない、絶対の受容。全肯定。切なくて胸が痛かったです。
自分のすべてが否定されたとき、それでもあなたの隣には誰かが居てくれますか。
そう問いかけてくる作品で、めちゃくちゃ悲しくなって泣いてしまいました。
ラナ役のミシェル・ウィリアムズ。
すごくかわいい。思わず見とれました。画面に花が咲いたかのよう。
「ドーソンズ・クリーク」というテレビドラマに出演しているということでちょっと検索してみましたが、え、これ、ほんと? まるで別人!
あの髪型と黒髪が似合いすぎるくらいに似合っていたので、是非ともこれからも黒い髪でいていただきたいと思ったり。
かわいいだけではなく、演技は上手いし、なにより自然な存在感でとても好感が持てる女優です。いいなぁ、ミシェル・ウィリアムズ。
ランド・オブ・プレンティ
http://landofplenty.jp/