監督:ロジャー・ミッチェル
2004年/イギリス

満ち足りた関係を築いていた「ぼく」と彼女。
──あの気球の事故が起きるまでは。
五人の男が少年を助けようとし、ひとりの医師が死んだ。誰のせいでもなかった。同時に、全員の責任でもあった。
ゆっくりと歯車が狂い始めた。そして「ぼく」の前に、彼が現れた。
愛という名の奇妙な狂気をたずさえて。
「これはまさにヒッチコックだ!」という煽り文句は伊達ではありませんでした。
ある出来事をきっかけにしつこくストーカーにつけ回され、ストレスフルな中で恋人との仲もめちゃくちゃになり、どんどん追いつめられていく、というストーカーが流行った時期によく見かけたパターンです。
お話自体がとても分かりやすいので、あとはキャラクタの力によるかと思われましたが、これがまた絶妙で。
狂信者を思わせるジェッド、ぎりぎりの綱渡りをしていることが真に迫ってくるジョー。
この主役二人の加熱っぷりとは対照的に冷えていくクレア。
決して優しくないラストですが、その冷たさがよく似合う作品でした。
ジョーは恋愛を科学的に分析する学者で、恋愛は幻想だとのたまいます。
作中では何度もキャラクタたちが「寂しいんだ」という台詞を繰り返します。
そして、崩壊していく一組のカップル。終わらない愛は狂気となり、ひとつの終焉が描かれます。
恋愛をシニカルに捉えていて、そこにすごく好感を覚えました。
Jの悲劇
http://www.wisepolicy.com/enduring_love/