監督:ジャン=ポール・サロメ
2005年/フランス
アルセーヌ・ルパンが謎を秘めた妖しげな魅力を持つカリオストロ伯爵夫人を助けたことから、莫大なフランス王家の宝石を巡る抗争に巻き込まれていく。その才智を邪悪な殺人行為にだけは使うまいと、いかなる手にも乗らずに拒否し続ける紳士的なルパン。恋心、憎しみ、栄誉、裏切り...、理性の及びがたい、蜘蛛の糸にも似た複雑な感情に絡めとられても、それを解きほぐすうちに真の自分自身を発見していく……。
なにを差し置いても、今作の主人公はカリオストロ伯爵夫人、ジョセフィーヌ・バルサモ。彼女ですよ。なんだあの美貌。翻弄される男どもの気持ちも分かろうかというもの。幻惑的というか、魅惑的というか。いやーすごいきれいだった。
この作品は大怪盗ルパンの青年期を描いた冒険物語であると同時に、男と女の果てのない愛憎劇でした。どろどろと煮えたぎった感情が全編を支配しています。やはり恐ろしいのは女の情念ですね。所詮男など駒ですよ。
ラスト、あの世界的事件で締めるとは。巧妙にして絶妙。うまいなぁ、と、感心してしまいました。
アルセーヌ・ルパンというと、小中学校の図書室を思い出しますが、その雰囲気を損なうことなく、男女の情動を描いた良作でした。
ルパン
http://www.arsene-lupin.jp/