監督:マイケル・ラドフォード
2004年/アメリカ・イタリア・ルクセンブルグ・イギリス

貿易の中枢として栄える運河の街ヴェニス。
無一文の情熱家バッサーニオは愛する人に求婚するため、資金の援助をヴェニスの商人アントーニオに申し出る。全財産が航行中で手持ちの財産を持たない彼は、友情のために宿敵の高利貸シャイロックに自分の肉1ポンドとひきかえに借金をする。しかし、船が難破し期日までに返済できなかった彼は裁判にかけられる…
きちんと読んだことも見たこともなかったのですが、こういうお話だったのですね。へぇ。むぅ。
元々が戯曲であるためか、キャラクタの台詞、動き、場面の端々がそれっぽい。舞台っぽいというか、芝居がかっていて大袈裟な印象がありました。それだけ忠実に作ってあるということかな。
いや、ま、なんといっても役者ですよ。
アル・パチーノかっこいい。
屈辱・悲哀・恨み・怒り、負の感情にとめどなく襲われるシャイロック。
喜びや楽しみといった正の感情をまったく与えられず、徹頭徹尾作品の陰であることを強いられ続けるシャイロックを、貫禄すら感じさせる堂々とした姿勢で演じていました。お見事。
あと、ポーシャ役のリン・コリンズ。すごくきれい。大富豪で美しく茶目っ気があって頭も良い。あんな女性、現実にいたらそれはそれはすごいことになってるんでしょうねぇ。
ラストへ向けての裁判の怒濤の展開とあのオチは見事としか言いようがなく、深く感心しました。女性はやはり優性人種ですね。というか、男が劣性なものだから、その差がより明確に。嗚呼素晴らしきかは女性。
ただ……。全編にまとわりつくユダヤ蔑視とキリスト教賛美はどうも受けつけない。なんだあの終わり。唯一にして至高、というキリスト教精神はどうしても受け容れられませんでした。
あそこまでシャイロックを叩きのめして踏みつぶして跡形もなくしてしまう必要が何処にあるのか。
ヴェニスの商人
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