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監督:マイク・リー
2004年/イギリス

1950年、冬。凍てついたロンドンの朝の空気を暖めるかのようなヴェラ・ドレイクの明るい笑顔が、今日も人々の心を和ませていた。労働者階級の人たちが住むこの界隈に暮らすヴェラは、体の具合が悪い隣人たちを訪ねては、身の回りの世話をしているのだ。心優しきヴェラだが、彼女には家族に言えない秘密があった。
望まない妊娠をして困っている女たちに、堕胎の手助けをしていたのだ。非合法であることを知りながらも、ヴェラは女たちを助けるために堕胎を行っていた。
そんなある日、とうとう警察がドレイク家の扉を叩く……。

心優しきヴェラ・ドレイク。
他人を想うその心根が純粋であることが、皮肉にも彼女自身を塀の中へと追い込むことになります。
堕胎と隣人愛、そしてなにより家族愛。
言葉にしきれないほどのものにあふれた作品でした。

この作品が一線を画すのは、堕胎というショッキングな題材を扱ったにも関わらず、その是非についてどうこう言うようなものではなかったことです。
望まない妊娠と、その前に立ちふさがる分厚い法律の壁。たとえその壁を越えたとしても、そこに待っているのは高額すぎる手術費。
押しつけがましいところはなにもなく、ただ素直にそうした現実を見せているだけでした。

ヴェラ・ドレイク役のイメルダ・スタウントン。
このひと、すごい。
予告編で、
「イメルダ・スタウントンの演技に心を動かされない人がいるならば、その人は脈を調べてもらった方がいい。その人の心臓は止まっているに違いない!」
というBBCの評が出ていて、その大仰さに少し苦笑してしまったのですが、どうしてどうして。大仰だなんてとんでもない。それ以上のすばらしさでした。
もっとも印象に残っているのは、警察で27年間はずしたことのなかった結婚指輪をはずすシーン。
あの、身を切り刻まれるような悲痛さ。表情といわず仕草といわず、もう、画面全体からあふれ出る感情に息が詰まりました。

少し無理をしてでも見ておいて、本当に良かったです。



ヴェラ・ドレイク
http://www.veradrake.net/
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