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監督:堤幸彦

ズボラながら頭脳明晰、左腕を三角巾でつるした当麻紗綾と肉体派で単純男の瀬文焚流は。公安部公安第五課未詳事件特別対策係、通称“未詳”に属し、「未来予知」「念動力」などのSPECを駆使する犯罪者に立ち向かっていた。
当麻と瀬文の二人は、数々のSPECホルダーとの死闘の末、勝利をおさめた。
そんな中、人類の中枢を担う権力者たちは、SPECホルダーを殲滅する為“シンプルプラン”を実行に移そうとしていた。
SPECホルダーたちは人類との覇権争いに乗り出し、“ファティマ第3の予言”が示唆するように「SPECを持つ者」と「持たざる者」=「人間の可能性を信じる者」と「閉ざそうとする者」の人種間戦争が始まった。
当麻は、SPECホルダーと人類との間で苦悩し、暴走する自らのSPECに蝕まれていた。しかし、それでも刑事としてのあるべき姿に向かって瀬踏みと共に突き進む――。



これはひどい。
近年まれに見る駄作でした。
ジョジョ第6部とまどマギテレビ版を足して3で割って90年代の世紀末思想を混ぜ込んだ素材を、ハリウッドと日本のテレビ屋映画の作り方で成形してありました。
いや、ほんと、なんだこれ。


ハリウッドの作劇法って、基本的に序盤で「世界的危機」が発生して、主人公がそれに関わっていって、最終的に主人公の「愛」(アメリカの場合は主に家族愛)に則った行動が「世界的危機」の解決方法として還元される、という、大きな風呂敷を小さく畳む方法です。

それに対し、日本のテレビ屋さんが好む作劇法は、「恋愛」とか「絆」とか個人の事情がいつの間にか「世界的危機」に直結してしまい、世界を救うことで個人的問題が解決され欲求を満たす、という、小さな風船を大きく膨らませて叩き割るという方法です。

なんだかまったく逆の方法のような気がしますが、どちらも個人というミクロの事情が世界というマクロの事情と直結し連動するという点が同じです。

個人の問題や心情を丁寧に描いていくとどうしても物語をしっかりと作りこむ必要があり、結構苦労する割に絵的に地味になってしまったりします。
これを手っ取り早く解消するのが前述の方法で、個人と世界が直結するわけですから「どうだすごいだろ、壮大だろ!」という画面作りができるわけですね。

それと関連するわけですが、ハリウッドや日本のテレビ屋さんの作る映画は、基本的にストーリーがないものが多いです。目の前に追い込まれた状況を提示して、如何にしてそれを打破するかを見せる。危機的状況を打破したら一息つく間もなくまたもや危機。
と、いう、見ている側に考える暇を与えずにとにかくひたすら状況の提示と打破を繰り返すことで、気づいたら映画が終わっている、というパターンです。

だからこうした映画の煽り文句は「CGがすごい!」とか「総製作費○○億円!」とか「△△(アイドル)出演!」とか、とにかく画面をはでにして目を引けばいいや的なものばかりになってしまうわけですね。くだらない。

で。

誰も得をしない私的映画論をなぜここで一席ぶったかというと、今回の「SPEC 結」が、まさにこのお手本のような作品だったからです。

テレビドラマ版は超能力を計算に入れた推理物、というイロモノ具合とそこかしこに差し挟まれる小ネタと、テンポの良い展開が魅力でした。
後半は多少陰謀論とか超能力とかやりすぎ感がありましたが、それでも失速感はなかった。

それなのに。

映画版は無駄に風呂敷広げすぎて、さらに畳み方を大いに失敗してしまいました。
ミステリ部分は皆無、ただの思わせぶりなだけで中身のない映像と、超能力合戦を延々だらだら垂れ流すだけ。
しかも敵役が向井理と大島優子。
この配役はひどい。
話題性と画面映えでも狙ったのでしょうが、もう少し、ほんともうちょっとでいいからまともに演技のできる人をあててほしかった。
もう、途中から安っぽすぎるわ薄すぎるわでしんどかったです。

しかし、ラストシーンだけはなかなかいい出来でした。
当麻と瀬文の選んだ結末はやさしいものではありませんでしたが、あの瞬間、確かにふたりは手を取り合い、それで救われてました。いい表情だったなぁ。


メンズデーだったおかげで2本で2,000円でしたが、それでもまだ高い。
時間と金返せと叫びたい気分ですが、まぁ、あのラストシーンと、あと、戸田恵梨香がかわいかったので良しとします。
いやほんと、はじめて戸田恵梨香をかわいいと思ったなぁ。ちょっぴりふっくらしていたような。


劇場版SPEC ~結(クローズ)~ 漸ノ篇/爻ノ篇
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