監督:園子温
2005年/日本

鈴木ムツゴロウ、役者をやって早や10年。恋人と愛人の間で、逆ギレし、酔いつぶれた俺は、夢の中で、テロリストになり死にかけていた。が、また目が覚めると今度は父親そっくりの男に尋問をうけている。夢に現実が浸食されるのか? 本当の俺はどこにいるのか?! 俺は一体何者なんだ!!
予告とチラシを見て、ものすげーエキセントリックな作品を予想していました。
確かになかなかエキセントリックでしたが、物語の筋は分かりやすいし、言いたいことも良く分かります。
ちょっとした演出と、夢の中という設定で語られる荒唐無稽さがこの作品を特異に見せかけていますが、それが結局なにを表しているのかと考えると、すごくオーソドックスな青春映画だったと思います。
キーワード、と言うか、ひとつの鍵となった台詞。
「俺はいつから、俺じゃないのか! 今のこの状態は俺が選択したんじゃない! 金星人のせいだ!!」
つまりは、そういう作品でした。
自分とはなんなのか。なにのために生きているのか。この生にどんな意味があるのか。
それにぶつかっていく。
でも、ティーンエイジャーのような熱量はないし、勢いもない。
もう、人生に挑戦するだけの余地もない。
そんな下地の上で、精一杯の自分探し。
僕はラストのあの展開には驚きました。
なんだかんだ言って、元の鞘に収まるだろうと思っていたんですよ。
心地よい裏切り。
ああすることで、ぞっとすると同時にひどく安心してしまいました。
現実はやさしくないですからね。
フェードアウトしていく感じがとても胸に響きました。せつないなぁ。つらいよ。
夢の中へ
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