監督:生野慈朗
2006年/日本

誰とも打ち解けず、暗い目をした青年──武島直貴。人目を避けるのには理由があった。兄・剛志が、直貴を大学にやるための学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。数度にわたる引っ越しと転職。掴みかけたのに鼻先をすり抜けた、お笑い芸人になる夢。はじめて愛した女性との痛切な別離。兄貴がいる限り、俺の人生はハズレ。そういうこと──。
耐えきれずに自暴自棄になる直貴を、深い絶望の底から救ったのは、常に現実から目をそらさず、日の当たる場所へと自分を引きずり出してきた由美子の存在だった。
しかし、そのささやかな幸せが再び脅かされるようになった時、直貴は決意する。
──塀の中から届き続ける、この忌まわしい「手紙」という鎖を断ち切ってしまおうと。