江國さんが好きなので、気になっていたんです。
以前「きらきらひかる」の映画版を見てひどく落胆したことは鮮明に覚えているのですが、それでも無視できないくらいには江國香織が好きなのです。
江國さんの作品は、それぞれのキャラクタたちが生きる人生の一部を「切り取って」見せてくれるものだと思います。だから、始まりはないし、終わりもない。ただ、この時期から、この時期までの、彼ら彼女らの人生。その披露。
江國さんは言葉遣いや文章の作り方でそれらをさらりと表してしまいます。
文章だから表現し得る世界。
それを映像にしようと言うのだから無茶な話です。ていうか無理です。
あの雰囲気をそのまま映像にしてしまったら、きっとそれはひどく単調でおもしろみのない、そしてなにより救われない後味のものになると思います。
それを回避しようと、いかにも映画らしい事件やラストが描かれていましたが、まぁ、恋愛映画としてはありなのかもしれません。
年下の男を翻弄しているようで、実は翻弄されている人妻。年上の人妻を翻弄しているようで、逆に翻弄されている男。透と詩史、耕二と喜美子。対照的なようでいて、この二組のカップルは驚くほど似ています。
まぁ、もともと全く期待せずに見に行ったので、これはそのまま「期待通り」の作品でした。
東京タワー
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