鷲田小彌太 / PHP研究所

あらゆる学問は、先行する時代の学術成果のもとに成り立っている。ゆえに、哲学を知るとは、哲学の歴史に学ぶことなのである。
本書では、古代ギリシャ哲学から近代西洋哲学、現在の言語哲学、構造哲学に至る「知」の系譜をわかりやすく紹介。
広く、深く考えたいあなたのための入門書。
ようやく入門書の入門書のワンランク上、入門書を読んでみようかな、という気になりました。
さすがに古代ギリシャ哲学から現在までを、西洋哲学に限定するとはいえ、俯瞰的に眺めると圧巻ですね。どの考えがどこに接続し、どんな余波を生み出すのか、が、なんとなく分かりました。や、説明しろといわれるとできませんけど。
おもしろいなぁ、と感じたのは、理性の哲学と感性の哲学の双方を母体として生まれてきた実証の哲学。
特にコントの「相対的であることが唯一の絶対である」「物事は観察に依る」、という考え方。非常に近しいものを感じるからというのもありますし、納得できる主張です。数学だって観察から生まれたものであり、理性の演繹に比されるのは間違いだ、という主張は痛快でもあります。
ソシュールとヴィトゲンシュタインの言葉の哲学が非常におもしろそう。
言葉の持つ懐の広さには感服するばかりです。言葉で規定できないものはないのですものね。