寺山修司 / 角川書店

世に名言、格言集の類は数多いけれど、本書ほど型破りな名言集は珍しいのではないか。歌謡曲あり、懐かしい映画のセリフあり、かと思うと、サルトル、サン=テグジュペリ、マルクス……。しかつめらしく覚えたり、読むのではなく、Tシャツでも着るようにもっと気軽に名言を自分のモノにしよう!思い出にすぎない言葉が、ときには世界全部の重さと釣り合うことがあるのだから。
まさに解説通りの本です。
寺山修司の選んだ名言集、というだけで、こころがおどりますね。
この本に対する感想、というのもなんだか変だと思うので、いくつか抜粋してみたいと思います。名言を。
およそ芝居などというのは、最高のできばえでも影にすぎない。最低のものでもどこか見どころがある、想像でおぎなってやれば。
ウィリアム・シェークスピア「真夏の夜の夢」
この世から去りゆくにあたって、つぎの言葉を辞世にしよう。私の見てきたものには誰も及ばないだろう。
ラビンドラナート・タゴール「詩集」
嫉妬はつねに、恋とともに生まれる。しかし、必ずしも恋とともに死にはしない。
ラ・ロシュフコォ伯爵「箴言」
幸福とは幸福を探すことである。
ジュール・ルナアル
花に嵐のたとえもあるさ
さよならだけが人生だ
井伏鱒二「厄除け詩集」