大岡昇平編 / 岩波書店

『山羊の歌』『在りし日の歌』全編と、未完詩篇から60余篇を選んで編集された中原中也詩集。
なんか突然詩を読みたくなって。詩集のようなものはいくつか持っているのですが、せっかくだから違うものにしようと思って、以前から興味のあった中原中也にしました。
中也と言えば「サーカス」と「汚れつちまつた悲しみに」くらいしか知らなかったのですが、なるほど、この人の詩は力強いかと思えば不安定で、そのアンバランスなところがいい。
ときに、はっとするくらい儚くうつくしい情景を見せてくれます。
『山羊の歌』に収められた「妹よ」という詩がなんだか心に残った。
「妹」に対するそんな思いを綴られたら、もう、僕は抗えない。妹には拭いきれない負い目があるので。や、自業自得なんですけど。ただ祈ることしかできないのは同じなのに、中也が詩に込めた思いと、僕の思いのなんたる落差。
なかなかいいですよ、中原中也。