NHK出版新書
ジャレド・ダイアモンド
ノーム・チョムスキー
オリバー・サックス
マービン・ミンスキー
トム・レイトン
ジェームズ・ワトソン
吉成真由美[インタビュー・編]
「二重らせん」構造を解明したワトソン、「普遍文法」を提唱し言語学に革命をもたらしたチョムスキー……限りなく真実を追い求め、学問の常識を逆転させた叡智6人。彼らはいま、人類の未来をどう予見しているのか。「科学に何ができる?」「人工知能の可能性は?」「情報社会のゆくえは?」――現代最高の知性が最も知りたいテーマについて語る興奮の書!
中央公論の新書大賞特集を読んでいて、一番心惹かれた本がこれでした。
ジャレド・ダイアモンドとトム・レイトン、ジェームズ・ワトソンのインタビューが一挙に読めるなんて! 贅沢ー。
たった300ページ足らずの新書で6人分のインタビューを収録するのだから、一人当たり約40ページ。しかも一ページの文字数がそれほど多くないのですらすら読めます。
「え? もう終わり?」みたいな。
が。
内容はとても濃かった。
おもしろいというか、興奮しました。
一番興味深く読めたのは、トム・レイトンのアカマイ・テクノロジー社設立の経緯でした。
以前テレビ番組だったか本だったか忘れましたが、アカマイ社のことを知ったときは少なからぬ衝撃を受けました。言われてみればこれだけ大量の情報が行き交うネットワークが、交通整理なしにスムーズにいくなんて考えられませんよね。
どういうきっかけでどういう人がそうしたアルゴリズムを考えてどのように提供していったのか。
情報工学の世界から出てきたのかな、と思いきや、数学科の人間が賞金目当てでコンテストに出場したのが最初のきっかけであり、誰もやりたがらないので仕方なく自分でビジネスを興すしかなかっただなんて。
おもしろいなぁ。
数学なんて現実社会で何の役に立つんだろうと思ったことは誰しも一度や二度あるんじゃないかと思いますが、なるほど確かに、現代の社会を支える情報技術は応用数学の力が大きな威力を発揮する、いわば数学がそのまま現実に影響を与える社会なのかも。
言われてみれば数学の可能性はいま現在、ものすごく広いのかもしれませんね。
あと、恥ずかしながらいままで知らなかったのですが、ノーム・チョムスキーの研究も非常におもしろそうです。素人でも楽しく読めるものが図書館にあるといいなぁ。