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柳原望 / 天水花苑
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いよいよ大和守家との戦を間近に控えた乾山。
しかし、彼我の戦力差からいって、まともに戦って勝てる相手ではない。
そこで風花は川並衆という水軍を味方に引き入れようとするが、提示された条件は「白鬼丸と川並衆の跡取りを作ること」で──。


白泉社から出版され、大人の事情により三巻で完結を余儀なくされた『とりかえ風花伝』。
その続きのお話が同人誌で刊行されました! やっほい!
僕はあの三巻の終わり方がすごくすごく好きで、やはり何度読んでもハート鷲づかみなわけですが、それは演出の方法にときめいているのであって、お話的には決して納得いかないんですよ。まだまだこれからでしょ、せっかくお話が転がりだしたのにー! と臍を噛んでいたのです。
それがまたこうして続きが読めるようになるなんて……。感激することしきりです。

今回の第12話は「線引き」がテーマ。
世界は思いでできていて、誰かの思いを通すには誰かの思いが犠牲になる。
でも、失ったはずの思いも、隣にいてくれる誰かがいれば、きっと取り戻せる。
『お伽話〜』で、柳原さんはそういう結論を一度提示しました。
この『風花伝』では、もう一つの道が示されています。
譲れないもの、譲れない思いを抱えて、どこで自分を納得させるのか。その線引き。
妥協と呼ぶほど後ろ向きではなく、譲歩と呼ぶほど弱くもない。
ここは譲れない、だからここから先は諦める。断固としてきっぱりと、自分の意志でもって下される決断。それは覚悟と呼ぶより他にない、力強い思いです。

……それにしても、「今晩は私が行くっっ」はいいんですけど、風花姫、どうするつもりだったんだろ……? いくらなんでもできないと思うんだけどなぁ……。それとも、中身は風花でも身体は白鬼丸だから、勝手に反応しちゃうのかしら。……あらいやだ、下世話でごめんなさい。


信安さん主役の短編、「ある瞬間」も収録。
いいな、これ。すごくいいな。顔がにやけてたまらない。
思わず口をついて出る言葉、というのは、自分でも意識していない本心なのですね。というより、自分でわざと目を逸らしている本心、と言うべきか。
心の中にコップがあって、そこにお水が注がれていくけれど、いつもはいっぱいになる前に三割ほど残して飲んじゃうから。いつもは気づかない。でも、注がれるお水の勢いが強すぎると、飲む前にあふれちゃう。いつもは決してコップの底から出てこないもの、出てこないようにしていたものまで、あふれちゃうから。

台詞と、「あれ、いまなんて言った?」という表情が分離しているところが、また、すばらしい。ページの切れ目だから、台詞先行で後から表情を見せることで、キャラクタの「思いもかけずにやっちゃった」という驚きがより強く伝わってくる。いい演出だなぁ。
ラストのあれ、ステキな告白だなぁ。
いつかあんな台詞を吐いてみたいものです。ていうか、むしろ吐かれたい。
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