高野文子 / 中央公論新社

不思議な学生寮「ともきんす」。
お二階には寮生さんが4人。
朝永振一郎
牧野富太郎
中谷宇吉郎
湯川秀樹
20世紀に活躍した日本の科学者たちは
専門書のみならず、一般向けに多くの随筆を残しました。
21世紀のいま、ひと組の親子が時空を越えて彼らと出合う。
読書の道案内として、一冊どうぞ。(作者より)
マンガによる科学の解説書は数あれど、科学者自信に注目して、彼らの言葉を紹介するような本ってすごく斬新だな、と思って。
読んでみると中身は予想以上にあっさりしていて、それが科学者たちの「言葉」をすんなり受け入れることができるようになっていたように思います。
牧野富太郎の「なぜ花は匂うか?」を特に読んでみたくなりました。植物にこんなにも真摯に向き合いつつ、ユーモアに満ちた学者がいたなんて、正直知りませんでした。
あと、湯川秀樹の「数と図形のなぞ」も。
数をかぞえるということは、かぞえられているものの性質をそっくり捨て去り、そこではものすごい抽象化が行われている。
当たり前のことですが、当たり前のこと過ぎて意識したことはなかったです。しかし、改めて考えてみると、なるほど確かに「数をかぞえる」という行為は、ものすごい離れ業のようにも思えてきます。おもしろい。