山下和美 / 講談社

小さな田舎町。そこに住む少女がある日感じる、恐ろしい疑問。
「猿」と名乗る不思議な老人が見せる、綺麗な水晶の世界。
一族を無惨に殺された男、復讐心のみで生き抜く事ができるのか。
3巻で感じたそこはかとない物足りなさは、この巻では感じませんでした。
収録されている三話とも、すごくおもしろい。
人間の弱さ、人間の醜さとうつくしさ。
人間を見続けることしかできない少年だからこそ見えるもの。
「水晶玉の猿」がすごく好きでした。
少年が最後に呟く、
「人間って…… なんなんだ……」
というこの短い言葉に、なにものもを圧する万感の思いが込められているように感じます。本当に、人間ってなんなんだろう。