原作:奥瀬サキ 漫画:目黒三吉 / 角川書店

SM嬢・深小姫女王様のもう一つの顔は都庁委嘱の口寄屋。彼女が追い続けてきた自殺サイトの主催者・ユオが逮捕された。その背後で謎のイベント「大直の鑽火」が進行中という情報を得た深小姫。タイムリミットまではあと僅か。果たして打つ手はあるのか…!?
いつの間にやらラスボス・ユオV.S.深小姫さんという感じになってますが、複雑というかもったいぶってるというか、ちょっと間延びした印象があります。
口寄屋、という職業の特性も、なんだか便利な超能力として推理の道具に使われているのがなんだかいやん。
「もし貴女の口寄で彼らが救われたとしたら 彼らの過失 彼らの罪は どこで誰が償うのだろうか?」
(中略)
「──そうね あなたの言うとおり私は真実に蓋をし、咎められるべき罪を看過しているのかもしれない」
ユオが問いかけ、深小姫さんが応える。
ここでは口寄に焦点を絞ってあるように見せかけていますが、実はこの台詞ってば誰にでもどんな状況にでも対応するものだと思います。
罪を犯した者は償わなければいけない。法に反していれば法が償いを与えてくれます。では、法で規定できない罪は? それこそそこら中に転がっている、けれども見えない罪に苦しむ人がいれば、言葉でもって相手を救う。言葉で罪から目を逸らしてやる。
ユオの言葉を否定せずに、深小姫さんが受け容れたというところに、この作品の懐の深さが見えたような気がしました。