
原作:団鬼六 漫画:小野塚カホリ / マガジン・マガジン
お願い、目を閉じていて。これから生き恥を晒します…
ごく普通の学生である「私」が気品あふれる美少年・菊雄と出会い、倒錯の関係にのめり込んでゆく。叫び声や哀願の涙。十字架にも似た、肌に食い込んだ荒縄。心を穿ち、激しく身を切る禁断愛の行き着く先は…?
不意打ちですよ、不意打ち。
まったくのノーマークでぶらぶら漫画の新刊棚見ていたら、「小野塚カホリ5年ぶりのボーイズラブ!!」の帯。しかも原作が団鬼六。ここしばらくの小野塚カホリ作品は古本屋で見つけたときに買ってばかりいたのですが、これは我慢できませんでした。
これは……ボーイズラブなのかな。
うーん、確かに肉体は男と男なんだけどさ。
「上方文化の優雅と豊かさ。」
「男色文化がこれだけ華やかなのもまた日本独自のものでしょう。」
と、あとがきで小野塚カホリが言っていますが、まさにその通りだと思います。
それと、時代背景もいい。まだあの頃は、連綿と続いてきた日本の独自の文化がまだ生きていたと思わせるからです。現代だと、どうしても違和感を感じてしまうことだろう、と思います。
男同士だから、というだけの理由でこのジャンルは敬遠されがちですが、同性だから描けるものというのは確実に存在するんですよ。
そのものの激しさと潔さ、沸点と凝固点の落差。ヘテロとはまた違う、剥き出しの人間を見ることができるのです。