江國香織 / 新潮社

アル中の妻、ホモの夫、そして夫の恋人。
一見奇妙な夫婦関係、しかし、そこから浮かび上がるのは、とてもとても純な感情。
誠実であること、友情を保つこと、愛情を育むこと。
純度100%の恋愛小説。
僕が初めて触れた江國香織作品が、この「きらきらひかる」でした。
高校生のときです。
本当に幸運な出会いだった、と思います。
この作品に出会い、江國香織という作家の美しさに触れたことが、僕の文章の原点でもあります。
本当に、本当に美しいです。
言葉も、文章も、お話も。
こんなに美しい物語が存在するということ、それが、一つの奇跡のように思えます。
作中で笑子が「みんなの子供」を作れないか、と柿井に相談したというくだりが出てきます。何度目であろうと、ここを読むときは目頭が熱くなります。
「このままでいたい」と痛切に望みながら、そうはいられないと知っている笑子。
その彼女の見出した現実との折衷案。
純粋な愛情は他者から見ると理解できない場合が多いけれど、この二人ほど、純粋にお互いを慈しみ愛しあっている夫婦はそうはいない、と思いました。