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講談社

谷川俊太郎、多和田葉子、重松清、小川洋子、川上弘美、川上未映子、いしいしんじ、J.D.マクラッチ、池澤夏樹、角田光代、古川日出男、明川哲也、バリー・ユアグロー、佐伯一麦、阿部和重、村上龍、デイヴィッド・ピース、の、総勢17名による、タイトルから想像がつくかもしれませんが、3.11をテーマとしたアンソロジーです。

それぞれの作品ごとに作家の個性がにじみ、同じテーマでもまったく異なるテイストを味わえるのがアンソロジーのおもしろさですが、今回のこれは、特にその振れ幅が大きかったように思います。

個人的には谷川俊太郎の「言葉」、川上弘美の「神様2011」、明川哲也の「箱のはなし」、阿部和重の「RIDE ON TIME」がよかったです。

特に「神様2011」。川上弘美のデビュー作である「神様」の3.11以後バージョンで、オリジナルと2011バージョンの二つが並んで載っています。
この対比が見事!
熊の神、という存在がよりくっきりと浮かび上がり、作中に描かれるくまの姿や立ち居ふるまいから、どんな人間の神様よりも尊い姿を想像してしまいます。
その敬虔さが、いま、求められているものの正体なのではないのかな、と思います。

また、阿部和重の「RIDE ON TIME」のラスト。
「たとえまたもやライディングに失敗したとしても、そのありさまが、三〇〇人もの人たちの目に留まれば、ひとつの意味がそこに浮かび上がりはするだろう。
ひとつの意味がどこかに浮かび上がれば、それも突破口をこじ開ける、力の一部に生まれ変わるにちがいない。
そうすれば、いつもとはまったく異なる金曜日を、いつも通りの金曜日に変えることができるかもしれない。」

この3文、たったの3文が、希望という概念を実に的確に言い表していると思いました。

しかし、未映子さんは、もうこれからずっと「文筆家・川上未映子」なんだろうか。
正直、光るものがないんですよね。素材の捉え方と感性はすばらしいままなのに、一時期の勢いがまったくなくて。
「ミュージシャン・未映子」が復活しないかなぁ。あのすばらしい歌をもう一度。や、「もう一度」程度じゃ物足りないんですけど。せめて。
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