森絵都 / 講談社

今から将来を決めなきゃならないなんて。高校受験を控え、揺れるさゆき、十五歳。音楽を選んだ真ちゃん、いつの間にか大人びてきたテツ。幼なじみ三人の<リズム>のゆくえは?
『リズム』の続編です。
十三歳だったさゆきもいつの間にか十五歳。高校受験を控えた受験生となっています。
夢を追いかけるということ、諦めるということ、そして社会に出るということ。
なんて難しいんでしょうか。
もちろんどれもこれも一筋縄ではいきませんが、誰にでも適用される「正解」なんてどこにもないわけです。
みんなそれぞれが、それぞれに掴むしかなくて。
金魚のくだりはとても分かりやすいエピソードで、上手いなぁと思いました。この伏線、こんなに活きてくるのか!? みたいな。
「金魚は弱い、はかない生きものだ。
そして世界は広い、おそろしい場所。
(中略)
いろんな天敵が息をひそめて、あたしたちの大切なものを狙っている。
あなどれない。
(中略)
それでも、はかない生きものたちは、がんばって夢を見なきゃいけないのかもしれない。」
さゆきと、テツと、真ちゃん。
それぞれが選んだ道は違うし、というか違って当たり前だし、それぞれに苦労はあるだろうけど、自分で選んだものだから輝くのですよ。
……ああ、岡崎さんのうたを思い出すなぁ。
あのひとは、いつも、そう言っています。
だから、胸を張って生きていてね、と。