新城カズマ / 早川書房

<プロジェクト>を通して、自分の時空間跳躍能力に目覚めていく悠有。いっぽう、辺里の町では不穏な出来事が進行していた。続発する放火事件と、悠有に届けられる謎の脅迫状──「モウ オマエニ 未来ハ ナイ」。涼、コージン、饗子それぞれの想いが交錯するなか、いつしかぼくはかすかな不安に囚われていた──悠有はなぜ過去へ跳ばないのだろう? そして花火大会の夜、彼女は僕の前から姿を消した……。
あとがきで作者が「現時点の僕に可能な「これ以上ないくらいSFっぽいSF」を、そして同時に「もっとも素朴な青春小説」を、お届けします。」と言ってます。
これはまさにその通り。
一地方都市を舞台に、近未来でも遠未来でもない現代に生きる少年少女達の物語。
SF──サイエンスフィクション──空想科学という言葉が本当によく似合う小説。事象を定義するのは、高度な科学でも失われた文明でも宇宙より飛来した地球外生命体でもなく、ちょっとだけ頭のいい子供達の紡ぐ言葉ただ一つ。言葉で定義され、はじめて形を得るその輪郭。
すっごくシンプルで、すっきりとしたお話でした。
ただ……やっぱり僕はこの人嫌いだ。
文体がうざったい。
読んでいていらいらする。
せっかくのスマートなお話が、文体と語り口でぶくぶくに着飾られてしまっている印象。
内容はとても好みなのに。
結構著作の多い人らしいけれど、よっぽどのことがない限り、もう手は出さないかな。