向井康介 / 竹書房

高校生活最後の文化祭のステージに向けて、オリジナルの曲の練習を重ねてきたガールズバンド。ところが本番まであと3日という時になって、ギターが骨折、さらにボーカルまで抜けて、バンドは空中分解寸前。残されたドラムの響子、キーボード転じてギターの恵、ベースの望みはひょんなことからブルーハーツのコピーをやることに! そして彼女たちがボーカルとして声をかけたのは、なんと韓国からの留学生ソン!? 本番まであと3日。4人の寄り道だらけの猛練習が始まった!
映画『リンダリンダリンダ』のノベライズ。
よけいな先入観を持ってはいけないと思い、映画見るまで我慢してました。
映画一本と文庫本一冊とを比べると、そりゃ表現が違って当たり前ですし、そこに盛り込まれる情報が違うのも当然です。
だから一概にどうだとは言えませんが、僕は、この作品は小説を読んでから映画を見た方がより楽しめると思いました。
著者は映画の脚本を書いた人の一人で(『リンダリンダリンダ』は三人の共同脚本)、この本が初小説だそうです。そのせいか、まさに忠実に画面を文章に置換してありました。読みながら頭の中で一人上映会が行われるほど。
そして、映画ではさらりと流され、あるいは描かれもしないバックグラウンドが文章では補完されます。そうして初めてつながることもありました。
いまは、もう一度映画を見たいです。
小説を読むことで、見逃してしまったものが結構あったことに気づきました。ちょっとした仕草や台詞の端々に込められた意味。
小説ほどではないにしろ、やはり、映画でももうちょっと個人個人に寄っていって欲しかったです。
“女子高生四人組”としてのキャラは立っても、各個人のキャラクターが亡羊だったもの。せっかくこうして小説として描けるほどのバックグラウンドが用意してあるのだし。