佐藤多佳子 / 講談社

春野台高校陸上部。
特に強豪でもないこの部に入部した二人のスプリンター。
ひたすらに走る、そのことが次第に二人を変え、そして、部を変える──。
「お前らがマジで競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」
いろんなところでちらほら見るようになって、興味は持ってました。
でも、陸上ってもともと興味がないのに読めるかな、でも『DIVE!』のような例もあるしな、と迷っていたところ、荻原さんが絶賛されてたので手を出しました。
すごい! おもしろい!
主人公の新二に天才(サッカー)の兄がいて、その友人が天才スプリンター(でも怠惰)という設定が、まず、たまらなくいい。
ナチュラルに挫折と羨望を抱え込んでいるのですよ。
屈折と呼べるほど大仰なものではないけれど、単純にスポーツを楽しむには邪魔をするなにか。そんなものを持った主人公だから、陸上のおもしろさに触れるたびに悩みながらもぐいぐい惹かれていく様子がとても魅力的に描かれています。
どきどきしながら読みふけりました。