梨木香歩 / 新潮社

それはついこのあいだ、ほんの百年すこしまえの物語。
学士・綿貫征四郎とさまざまなモノたちの物語。
帯にあるように、これはほんの百年すこしまえの物語で、まだモノが身近に溢れていた時代のこと。
だから、サルスベリに惚れられたり、亡友が訪ねてきたり、河童が現れたり、鬼がいたり、白木蓮がタツノオトシゴを孕んだり、そんなことが起きるのはなんでもないことなのです。
植物とモノ、お隣のおかみさんに飼い犬のゴロー、山寺の和尚さんとの織りなす、暖かみのある物語。
爽やかな読後感に浸れる作品です。