森博嗣 / 講談社

秘宝“エンジェル・マヌーバ”が眠る“メビウスの帯”構造の捩れ屋敷。密室状態の建物の内部で死体が発見され、秘宝も消えてしまった。さらに、完璧な密室に第二の死体が! 招待客は保呂草潤平、そして西之園萌絵。探偵は前代未聞の手法によって犯人を言い当てる。
講談社ノベルス20周年の密室本として書かれた作品です。
なので、Vシリーズの一つとされてはいるものの、若干色合いが違います。保呂草潤平は居ても、小鳥遊練無も香具山紫子も登場しません。瀬在丸紅子は一応最後に顔を出しますが、それは物語にはまったく関係のないお話。
そして、その代わりに西之園萌絵。
保呂草潤平と西之園萌絵。
この二人の共演ですよ。
いやぁ、あらすじにも書かれている通り、犯人当てはまさに前代未聞な、というか、まるっきり反則だと思うんですが、そこはそれ、Vシリーズですから。
密室や事件というのはあくまでも小道具、演出にしか過ぎず、本当の魅力はキャラクタにあります。
ええ。
保呂草さんと萌絵が同じ舞台に立つ、というその一点でこのお話の素晴らしさは保証されているようなものです。