作:中川李枝子 絵:山脇百合子 / 福音館

森に住むおばけ一家が、ある小学校に引越してきました。1年生の教室に住みついたおばけの一家と子どもたちとの愉快な交流が、生き生きとした現実感をもって繰り広げられます
まずですね、森おばけの一家の名前が秀逸。
ふらりさん、すらりおくさん、ひらりぼうや、ゆらりおばあさんですよ。
おばけ特有のふわふわひらひら感を残しつつも、キャラクタの特徴をばっちり表したネーミング。いきなり、おお、と唸ってしまいました。
お話はこの森おばけの一家が長年住み慣れた家を離れ、ある小学校に引っ越して……というものなのですが、その引っ越しをする原因が、ゆらりさんの神経痛。森に住むおばけのお話なのに、そこが妙にリアルでおもしろいです。あれですね、嘘をつくときは七割の真実に三割の嘘くらいが割合的にちょうどいい、みたいな感じ。
この森おばけ、主食はにおいです。春のにおいをあつめて春のご馳走を作ったり、給食のにおいをあつめてきて食べたり。
この発想がすばらしいですね。
とてもすてき。
きっと森や山に満ちるにおいと人間の調理で生じるにおいを使って作るおばけのご馳走は、とてもおいしいのでしょうね。