監督:アヒム・フォン・ポリエス
2004年/ドイツ

1927年、ベルリン。
初めての恋、湖畔の別荘、ダンスと音楽、アブサンの陶酔──。若さのすべてがここにあった。
6月28日の早朝、19歳のギュンター・シラーが見習いシェフのハンスを射殺、続いて自らも頭に銃弾を撃ち込んで死亡した。現場にはポール・クランツとギュンターの妹ヒルデ、その友人のエリが居合わせたが、射殺現場を目撃したのはポールだけだった。
僕らは一番美しい瞬間にこの世を去るべきだと思わないか?
予告編を見ていて、友人に対する恋情を秘めた青年が、その友人のために妹との仲を取り持ち、けれど耐えきれなくて……みたいな話かと思ってました。
本当はもっと交差する思いは多いけれど、実は至極シンプルな痴情のもつれでした。
はじけ飛び散る若者の激情がきれいでした。
や、きれいというとなんかちょっと違うかな。
「僕らは一番美しい瞬間にこの世を去るべきだと思わないか?」
↑このナルシチズムに満ちあふれた台詞を吐き、その陶酔のままに引き金を引けるこの自意識を若さと呼ばずして、なにを若さと呼ぶのか。そういう若さがまぶしいというか、見ていられない危うさを秘めているからこそ、目が離せなくて。
ひきつけられました。
この作品は、「シュテークリッツ校の悲劇」と呼ばれた実際の事件の映画化だそうです。
触れればはじけ飛びちる若さの激情を持った若者が実際にいて、本当に陶酔のまま死んでいったということですよ。
物語としては、こういう人物を作り語ることは珍しくもないしむしろ常套手段と言っても良いのではないか、と思いますが、これが実際にいたっていうんですよ。
どれだけ純粋で感受性の高い人だったんだろうか、と考えると、思わず涙が流れました。
青い棘
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