高樹のぶ子 / 文藝春秋

永遠に終わることのない、一生に一度の本当の恋。たった2年2ヶ月の恋愛の末、男は癌で死に、残された女は男の面影だけを胸にアルツハイマーで廃人同然になる。
「心に決めてたんです
わたし、郷さんの娼婦になるって」
切ない。とてつもなく切ない。
若い頃のような情熱はもうなく、一途に、けれどとても不器用に、互いを求めることしかできない中年の男女。
濃密で、透明で、だからこそ儚い恋。
こんなきれいで悲しくてうらやましい恋物語、実に久しぶりかもしれません。
もう三週間もすれば映画が公開されます。
これは下手な出来では納得がいかないこと必至です。
が。
もし。
もしも、原作の雰囲気をそっくりそのままスクリーンに投影するような作品だったなら、涙があふれて止まらないこと必至です。
ああ。