原作・脚本・演出:今井雅之

2005年8月1日 東京
「お笑い名人大賞」を夢見る漫才師、アニキとキンタ。うだつが上がらずストリップ劇場のステージをクビになった二人は、交通事故に──意識を取り戻すとそこは1945年8月1日太平洋戦争末期の日本海軍。彼等に突きつけられた現実は、神風特攻隊員としての前世の姿。時空の渦に巻き込まれた彼らは戸惑い、現実を否定しながらも時を彷徨っていく。戦争という大儀の前、任務遂行のため命を差し出すことを余儀なくされた若者達。その中で突然突きつけられる「死」という現実。ある者は任務に忠実であり、ある者は神に祈り、ある者は心の奥に疑問を抱きつつ、それでも戦いの空に飛び立っていく。過去と未来の狭間で運命に翻弄され、己の無力さに歯がゆさを感じる。ついに二人にも零戦に乗る日がやってきた。彼らの運命は──
今井雅之の『THE WINDS OF GOD』。
大好きな舞台で、まさかまさか生で観られるなんて思ってもいませんでした。
感激……で、観終わった後はしばらく大変でした。
良かった……!
ビデオやテレビで何度か観たことはありましたが、やっぱり生は違います。
パワーっちゅうんですか。勢いっちゅうんですか。
ただただ圧倒されて、言葉を失いました。
一見すると「反戦」がテーマなのかと思いますが、それはあくまで一番分かりやすいものでしかないんだな、といまなら思えます。
この舞台で今井雅之が言いたかったことは、もちろん一言で言い切れるようなものじゃないことは分かります。それでもあえて、言っちゃいます。
多分、あの人は「生きて生きて生き抜く」ことを描きたかったんだろうな、と思います。
小難しいことは置いておいて、ただ、懸命に生きるということ。
舞台が終わった後の挨拶で、9.11のときに「KAMIKAZE」の文字が出たことが本当に悔しかったのだ、と彼は言いました。
その意味をかみしめて、もっといろんな人に観てもらいたいと思いました。
なんのために若者が死んでいったのか。
命を懸ける、という言葉の意味を。
死を受け入れる、ということは、生を諦めるということと同義なんですよ。
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