
タテタカコ
タテさんの3rd. mini album。初回限定版なので、「宝石」「秘密の物語」「春風」のビデオクリップと、その幕間に挿入された「1分劇場」が収録されたDVD付。
「そら」「裏界線」に続く三部作の最終作という位置づけにあるそうです。
ということで、やはり、この作品も声とピアノ。それだけの構成になっています。
タテさんの声はとてもきれいで、澄んでしみわたる。それが、ピアノの音と絡み合う。シンプルであるが故の力強さと迫力。いつかも書きましたが、この人の歌を聴いていると、胸の奥に溜まったなにかをむき出しにされるような感覚がします。
かっこよく見せようとか、きれいに見せようとかいう意識なんてないんだろうなぁ、と思わせる、生のままの歌詞。
全力で空気をふるわせることしか考えていないような声の響き。
その半端ない破壊力の前に、聴き手の防御は吹き飛ばされるのですよ。
あ、あとね。
タテさんの歌は、歌詞がきちんと詩なのですよ。
や、当たり前だろ、と言われればそうなんですけどね。
こう、最近のヒットチャートを見ていると、歌詞が詩じゃないような歌が多いと思うのです。
歌詞がストレートに話し言葉であり、メッセージそのものである、みたいな。
裏は? ねぇ、その奥にはなにもないの? みたいな。
歌を聴いて、歌詞を読んで、そのものが持つ力とはまた別個の力を、自分の中から見つけ出す。
そういう魅力が、彼女の歌にはあると思います。
DVD。
ミュージッククリップ、いいですねぇ。
音楽も、こうして映像が流れるとまた表情が微妙に違ってくるから不思議だ。
しかし、「宝石」に使われていた『誰も知らない』の映像はやばいって。あれから一年以上経ってるのに、短い映像だけでぼろぼろきた。あの映画を見て感じた、自分が五人目であるという感覚が、ちっとも薄まらずにそこにあった。噴出してきた。
タテさんの声があまりにもきれいで、それがあまりにも悲しくて、しっかりせないかんな、と、改めて思いました。