バンダイビジュアル

【本編】
【映像特典】
●ふたりのカナリア メイキング
〜石田法嗣&谷村美月〜新録音声解説付
●大人たちのカナリア メイキング
〜西島秀俊/甲田益也子/りょう/つぐみ/水橋研二/井上雪子〜
●舞台挨拶映像
●予告編
●プロフィール
映画『カナリア』のDVD。買っちゃった。
じっくり見てみて、改めて思った。
『害虫』といい『カナリア』といい、塩田さんは“やさしくない子供たち”を実に上手く描く監督さんだなぁ。
純粋でまっすぐだからこそ優しくなれない子供たち。
無知でないのに無力であるが故、生きることが易しくない子供たち。
その子供たちを、暖かい視点で見守るのでなく、かといって冷たく見放すのでもない。ただ、横にそっとついているその立ち位置。
余計なものをそぎ落とした画面からは、子供たちの声が直接伝わってくるようです。
主人公の二人は、家族を失っています。そこがスタート。
本来ならば愛され慈しまれ庇護されるべき存在である彼らは、そのすべてから見捨てられ、自分の足でかろうじて立っています。ひとりでは直に倒れてしまう。
そんな少年と少女が出会い、ふたりになるのです。
そして旅を続ける中、つかの間の疑似家族(レズビアンのカップルや元信者たち)に身を委ねます。しかしそれは所詮わずかな間だけの幻想でしかありません。
しかし、そのわずかな幻想は充分すぎるほど二人を癒します。自分だけを頼りに自分の足で立つことを余儀なくされてきた子供たちは、誰かに支えてもらうあたたかさを知り、そうした可能性が自分の前にも広がっていることに気づく。それで救われるのです。
そして。
ふたりが笑顔を見せながら(!)オムライスを頬張っているときに、カタルシスは起こります。
一度見て、その先の展開を知っているからこそ余計に、このカタルシスは効きました。
途方もない絶望。
しかし、少年は少女と出会ってしまっていたし、少女は少年と出会ってしまっていました。ひとりではなく、ふたりだったのです。そして流れる「銀色の道」……ぼろぼろ泣いてしまいます。
あのラストには多少違和感を感じないでもないですが、少年のたどり着いた結論には納得がいきます。自分を赦し、他人を赦すことでしか始まらない。ふたりの辿ってきた旅路は、それを物語っています。
そして少年がひとり疾走するシーンで幕を開けたこの物語は、しっかりと手を繋ぎ合った子供たちが歩いていくシーンで幕を引くのです。
一見、カルト教団や児童買春といったショッキングなものに目を奪われがちですが、よくよく見てみると、自分を見つめ自分の足で立った上で、誰かと手を繋ぎ合うことの大切さを訴えている作品でした。
映像特典に主役ふたりのインタビューや解説音声があるのですが、ふたりとも役とは全然違う普通の子でびっくり。
いや、当たり前なんですけどね。
しみじみと感動している直後に見てしまい、そのギャップに思わず苦笑いしてしまいました。
ちょっとインターバル空ければ良かった。