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嫁が録りためたものを削除せずに置いておいてくれたので、見逃していた5話から最終話まで見ました。
いーなー。
抜群におもしろかった。
世界は見えるものだけでできているんではないんだよ、というテーマを10話かけてしっかり見せてくれるドラマでした。

とてもテレビドラマとは思えないような豪華キャストでしたが、誰かが突出することもなく、いい意味でこなれた配役だったと思います。
まるで野菜スープのような。
いろんな種類の野菜を、ただひたすらくつくつと煮込んでいった末に出来上がったスープのような。
それぞれの個性がしっかりと出ているけれどしつこさはなく、全体できちんとまとまっている。というか、まとめているのは監督の手腕なんですが、これも派手さはまったくなく、ひとつまみの塩のように、最小限でぴりっと全体を引き締めている。

特に、第6話のラストのシーンは最高でした。
出汁をとる山口智子を娘が見ていて、

「なに作ってるの?」
「出汁」
「出汁って?」
「縁の下の力持ち。世界と同じでさ、料理も目で見えるものだけでできてるんじゃないんだよ」

そして娘を呼び、出汁を味見させます。

「どう?」
「薄い」
「だから縁の下なの」

実際に見てみないことには伝わらないかもしれませんが、説教くさくなく、わざとらしくもなく、ともすれば流してしまいそうな静かなシーンが、じわじわじわと効いてくるんですよ。
おもしろいとか楽しいとかじゃなくて、しみる演出でした。


最終話、長野に帰る西田敏行と阿部寛が交わす会話。

「また、父の話聴かせてください。僕の知らない、あの人の話を」
「いろいろあるぞ~。……いろいろあるんだ。まだ、話せないことが。話したいことがいっぱい」

このシーンを見るまで、「世界は目に見えるものだけでできているんじゃない」というのは精神的豊かさのことを表しているのだとしか思っていませんでした。
でも、それだけじゃなかったんだなぁ。
人間は決して一面的ではなく、ある人から見たその人、また別の人から見たその人、またまた別の人から見たその人、というように、おそらく関わりのあった人の数だけ、「その人」というのは存在するんでしょう。
だから、誰かをわかった気になっていても、それは決してその誰かのすべてではないんですよ。
宮崎あおいの台詞に「死んでもいなくなったりしないよね」というものがありましたが、まさにまさに。
いろんな人の中に「その人」がいて、たとえ「その人」が亡くなったとしても、誰かの中に「その人」がいる限りいなくなったりはしない。
クーナという「目に見えないもの」を前面に押し出すことでテーマに注意をひきつけといて、実はもっと多くの意味をそこかしこに散りばめていたんだなぁ、と。最終話にしてようやく気づきました。

いろんなところに焦点を合わせられるから、何度見ても楽しめるドラマ。一回だけじゃもったいない。
DVD買おうかなぁ。
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