今期夏ドラマでは、全話通して見たのは「リッチマン、プアウーマン」「トッカン」の二本でした。
「リッチマン～」は、石原さとみと井浦新が絡むところをちょっと見てみたくて第1話を見ました。
そうしたらば、もう、展開とか演出とか「韓国ドラマかよっ」って言いたくなるような出来で、思わず笑ってしまいました。
テンポのよさにつられて最後まで見て、もう次は見なくていいかなと思ったところ、残り3分での爆弾発言。謎を突きつけての引き。やり口があざとすぎる！ と思いながらも、ついつい翌週も見てしまいました。あ～ハメられてるなぁ。でも大体の展開はわかったからやっぱもう見るのやめようかな、と思ったら、第1話で提示した謎を第3話冒頭であっさり明かしてるし！
え～！ あれだけ大袈裟に引いといて、このあっさり具合はなに？！ そして思わず（以下略）。
役者の演技もテンポよければ、ドラマの構成もテンポよすぎで、本当にひきつけられるように見てしまいました。
うん。
制作陣にまんまと乗せられた形でしたが、以外におもしろかった。
ただひとつ難があるとすれば、朝比奈兄妹でしたね。
井浦新は役不足で、相武紗季は力不足。
井浦新はもっとイカれた自己破滅型の人格にしといてくれれば、後半の失速感・朝比奈兄の小物化に歯止めがかかったのではないかと思いました。
ライバルの相武紗季がイマイチなもんだからラブコメとしての盛り上がりがまったくなく、途中途中に挟まれるラブ分が異様に浮いて見える。
てっきり最後までドタバタ喜劇なのだと思っていたら、最終回近辺で急にラブ分が急上昇してきて驚きました。そういえば月9だったんだよな……。
「トッカン」は期待もなにもなく、というか、前情報ゼロでテレビつけてたらやってた、という感じで見始めたんですが、これがまさに大当たりでした。
井上真央の挙動不審気味のおどおどした演技と、北村有起哉の切れ味抜群の俺様演技。
絶妙のかけあいと、軽妙でテンポのよい演出がいい具合に相まって、すごく見やすくおもしろかった。
国税徴収官という聞きなれぬ職業のことも、見ているうちに自然と理解できるように作られていたのも良かった。税のこと、徴収官のことをまったく知らなくても、見ていて疑問符が浮かばないというのは見事なもんですよ。
これも昨今よくある原作付きドラマだそうで。
原作を読んだことはないけれど、中短編集なのかな。
ドラマはきちんと1話完結してるんだけど、2～3話で大きな枠、というか一括りのエピソードになっているという感じでした。こちらは「リッチマン、プアウーマン」のような引きの強さはまったくなく、1話1話の積み重ねで気づいたらもうちょっとだけ大きな絵が見えていた、という作り。
しかし、作品の真ん中にきっちりと芯が通っているので作品のまとまりはよく、ぶつ切り感はありません。
これはこれでテンポよく、見やすい構成でした。
お金がテーマとなっているため、結構シリアスだったり重くなりがちなためか、全体を通してコメディ仕立てに仕上げようとする意気込みが感じられました。
緩むところは緩め、締めるところはきっちり締める。
緩急のつけかたはとても上手で、特に演出がよかったんだと思います。
演出といえば。
最終回、まぁいろいろあって盛り上がり、主題歌が流れ始めます。
このドラマ、いつもエンディングに主題歌を重ねていたので、特に違和感はなく、まぁ今日は最終回だし、クライマックスで重ねてくるのかーくらいにしか思わずにいませんでした。
画面では、妻に裏切られた夫が自殺未遂から意識が回復し、泣き崩れる妻にそっとベッドから手を差し出すシーン。一番の見せ場です。ここで、なんと流れてきた歌詞は「僕は手を伸ばす」。
なんてベタな！！
しかし、これは強烈でした。
実はこの夫婦、夫が野間口徹で妻が堀内敬子が演じており、ドシリアスなシーンでもつい「サラリーマンNEOじゃねぇか……」と思ってしまっていました。
けれど、このシーンは楽曲の力もあってか、一瞬だけど本当に感動的でした。
うん。
力があるからこそ多用されベタと呼ばれるのだなぁ、と改めて思いました。
できれば「トッカン」をもっと見たかったなぁ。
ドラマでシリーズ化して欲しいと思ったのはひさしぶりのことでした。
