あきづき空太 / 白泉社
目指す未来と、二人が"どうなりたいのか"を確認し合った白雪とゼン。タンバルンへ戻るサカキを見送った帰りに急遽外泊する事になったのだが、夜中にオビが一人で抜け出して!? そして、正式な宮廷薬剤師になった白雪は、リュウと北の地に赴くが!?
赤髪も早や8巻とは。
しかし8巻続いて魅力がまったく色褪せないのはすばらしいことですね!
好きなところは多々ありますが、この作品(というか、あきづきさんのマンガ全般に言えることですが)の最大の魅力は、読むと背筋が伸びることです。しゃきっ
いろんな登場人物たちがいますが、みんな自分に誠実。
「誠実でいい人」であふれているわけではないですよ? 中には悪人もいますし腹黒い人だっています。当然ながら。けれど、みんな、自分をだましたりしないんですよね。言い 訳したり、ごまかしたりもしない。
だから読んでて背筋が伸びる。
8巻では、根無し草のオビがどうしてゼンのそばにいるのか、ということが描かれます。
もともとオビは金で雇われて白雪に矢を射かけることに躊躇わない人物ですし(ただの脅しですけどね)、権力になびくようなタマでもないことは、これまでのお話でよおくわかっていました。
ちらちらと挟まれる回想シーンでも、そうしたオビの性格が垣間見えます。人になつかない、プライドの高い猫みたいな奴。
でも、そんなオビもいつの間にか変わっていて。
少しだけ甘えることを覚えていたようです。といっても、決して媚びるというわけではなくて、そう、だから甘えるというよりは、相手を信頼することを覚えたのかな。下駄を預 ける、とまではいかなくても、ちょっとだけ任せますよ、みたいな。
自分を一部 あの人らのそばに置いてるようなもんだ
そこんところはもう完全に預けちゃったから 自分の意思ではどうしようもない
そういう感覚はある
べったべたな依存に近いような信頼関係ではなく、あくまでも一部。
こういうさらりとした関係って、なんかすがすがしく見えませんか。
『ハチクロ』の森田さんとあゆのような。こういうの好きだなぁ。
さて。
後半では、物語は新章突入。 舞台は王城から北の大地に移ります。
とうとうイザナ殿下大活躍(暗躍?)の予感です。
敵役(かたきやく)として、めいっぱい白雪とゼンを翻弄してほしいものです。