監督:緒方明
2004年/日本

私には大切な人がいます。でも私の気持ちは絶対に知られてはならないのです。どんなことがあっても悟られないようにするのは難しいことです。
「ずっと思って来たこと、したい」
「…全部して」
中年男女の不器用な恋物語。
これ、たまりませんて。
思いの強さは誰にも負けないのに、ぶつかりあうほど若くない。秘めて来た思いが、仕草のひとつひとつ、言葉の端々に見え隠れする。
あぁーもぅーいいよ。この、全然直接的じゃないからこそより強く訴えかけてくる感情。
若者の恋物語もいいけど、やっぱり中年・熟年カップルのほうが断然好みだ。
もちろん基本は中年の恋なんですが、それだけではありませんでした。
認知症と児童虐待。
このふたつが二人の恋と折り重なっていくのです。
絡み合って物語を形成する、というよりは、折り重なる、という表現がぴったりきます。きれいな地層を見ているかのような。
そんな物語。
予告を見たときの予想通り、
「ずっと思ってきたこと、したい」
「…全部して」
のシーン、最高。
なにあの色気。岸辺一徳と田中裕子すげー。
あんな艶のある大人になりたいなぁ。
恋しなきゃ駄目ですか。しかも30年密やかに秘め続けなきゃ駄目ですか。
凝縮されたからこそのきらめきですねえ。はぁ。
いつか読書する日
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