監督:古厩智之
2005年/日本

「“オレって平熱高くてさ、37℃もあるんだぜ”よく自慢していたユタカと初めてやった日、ユタカは本当に熱くて、アタシは溶けてなくなった」
ユタカのことが好き。でも、初めてセックスした日、ゆうこは、ユタカに“みどりちゃん”という彼女がいることを知った。
好きなだけじゃ、ダメなのかな?
とうとう見れたー。
今年の夏東京に行ってきたのですが、一日時間があったので『ぴあ』めくっていたら見つけたこの作品。 「お! 南Q太原作で、古厩監督! これは絶対に見る!」 と勢い込んだのもつかの間、公開日時が明日からだった……。帰るから。今日。みたいな。
半ば以上あきらめていましたが、劇場で見れてよかった。
どういう風に撮ってくるのかと思ったら、原作とほとんど同じなのでちょっとびっくり。
ユタカの駄目っぷりやゆうこのどことない閉塞感、たろうくんのかわいらしいけれどちょっと頼りない感じや優希の意外と素直でかわいらしいところ。
それは確かに南Q太の世界でありながら、古厩監督の世界でもありました。
なんといっても、みずみずしい。
西島秀俊、ダメ男がこんなに似合うってのもどうかと思いますよ。いや、でも、ほんとぴったり。幼稚で軽いダメ男なのにそこまで嫌に見えない。
それというのも、ゆうこ役の星野真里に依るところも大きいんですけど。星野真里、すげえなぁ、ほんと。すっごい上手いよ。
明らかに原作と映画で違うのはクライマックス。
走って走って走って走るゆうこ。そしてゆうこから「やりたくない?」ときりだす。
原作では能動的になるとは言っても、まだどこか受け身であったゆうこが、映画では完全に受け身を捨て去ってます。あの一連のシーン、そしてユタカに告白するときの星野真里。あの表情。鳥肌が立ちましたよ。
そしてラスト。
いままで頑なに拒否してきたカラオケを歌うシーン。
これが、また気恥ずかしいんだ。でも、その恥ずかしさがとても清々しくもあり、とてもさっぱりとした後味を与えてくれます。
原作のきっぱりとした強さを感じられるラストも好きだけど、この映画版のラストの方が僕は好きでした。なんと言っても希望があるよ。
DVD早く出ないかな。
じっくりゆっくりと、星野真里の表情を追ってみたい。
さよならみどりちゃん
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