監督:リドリー・スコット
2007年 / アメリカ

1970年代の初頭のニューヨークで、ハーレムを牛耳っているギャングのボスの運転手をしていたフランク・ルーカスは、ボスの亡き後、東南アジアの麻薬を密輸する計画を決行する。時に横暴ともいえる強引なやり方で財力をつけたフランクは、マフィアにも一目置かれる麻薬王として街に君臨する。
予告編のポップな感じに惹かれたんですけど、見てみるとぜんぜんポップじゃなかった。
いや、ギャングものにしてはポップだったのかもしれない。ギャングものをあんまり見ないのでなんともいえませんが。とりあえず、個人的予想よりはシリアスな作品でした。
まさにタイトル通りアメリカン・ドリームのギャング版を描いた作品で、ひとりの男が裏の世界でのし上がっていく過程を、当の本人とそれと対を成す警察官の視点の双方から見る形で作られていました。
事実は小説より奇なりとは言うけれど、確かにフランク・ルーカスの人生は波乱万丈でした。そしてそれを追うことになる警官リッチーも。
ただ、それがキャラクタの魅力と同義ではなくて。
もっと彼らの人間性、知略(悪知恵)や大胆不敵な行動力なんかをふんだんに見せつけ、「かっこいい悪漢」を見せてほしかった。悪いやつなんだけど、そこにどうしようもなく惹かれる、みたいな。そしてそれを追う警官の愚直な正義感が滑稽に見えるような。
ピカレスクロマンを期待していただけに、なんだかあれよあれよという間に主人公が大物になっていくのが物足りない。
まぁ、つまり早い話、話自体はそこそこおもしろいかもしれないけれど、主人公ふたりに魅力を感じない、ということです。
これは結構致命的で、退屈を噛み殺すことしばしば。
長い映画だけにその回数も多くてねー。
ただ、最後のふたりのやり取りと関係性にはしびれた。
特にリッチーが検察を去り、弁護士となって初めての顧客がフランクだったってところ。
そうそう、こういうの! と5分ばかり興奮したところでエンディング。
なんだかなぁ。
むしろこっちをメインに話を作ってくれた方がずっとおもしろかったろうに、と思いました。
アメリカン・ギャングスター
http://americangangster.jp/